水の色cafe
小さなひまわりのお話です。
ライオンひまわりって何?
と思われた方, 是非読んでみてくださいね!
1
今日もいいお天気です。
花たちが元気に咲いています。
その中に小さなひまわりがいました。
黄色の花びらが〝ピン〟ときれいで
まるでライオンのようです。
2
「あ~あ、つまんないなぁ」
ひまわりは毎日たいくつでした。
「同じ景色ばかりで飽きちゃった」
横をネコが通っていきます。
自由に動けるネコを見ていると
「いいなぁ、ぼくも歩いてみたいな」と
思うようになりました。
3
「ねぇ、いつか歩けるようになれるかなぁ?」
ひまわりが聞くと、他の花たちは
「え~? そんなことできないよ」
「無理無理!」と笑います。
「お花はじっとしているだけでいいのよ」
「へんなこと言わないでよ」
全然話を聞いてくれません。
4
ポツン、ポツン、
「あっ、雨だ」
「やった~」
みんな大喜びです。
「うわ~、気持ちいいなぁ~」
シャワーを浴びているようです。
5
サワサワ~、サワサワ~、
風も吹いてきました。
ひまわりの身体が左右に揺れます。
「面白い」
「面白い~」
みんな楽しんでいます。
6
ザーッ、ザーッ、
雨が強くなってきました。
ビューッ、ビューッ、
風も強くなってきました。
「キャ~ッ!」 「たすけて~」
みんな騒いでいます。
でも ひまわりは少しワクワクしました。
7
ゴォーッ、ゴォーッ、
雨も風もどんどん激しくなっていきます。
ひまわりは倒れないように必死です。
みんなの声も もう聞こえません。
そのとき・・・
8
「あっ!!」
ひまわりの根っこが取れてしまいました。
9
ビューン!!
目がくらむほどのスピードで飛んでいきます。
「うわー!」
どこまでも どこまでも
風に乗って進んでいきます。
10
「すごい、すごい!」
ひまわりは楽しくなってきました。
「走るって こんな感じなのかなぁ」
まるで力強いライオンになったようです。
11
しばらくすると
雨と風が弱くなってきました。
ひまわりはヨロヨロしながら飛んでいます。
「ここはどこなんだろう・・・?」
なんだか急にこわくなってきました。
12
ポトン、雨が止んでひまわりは地面に落ちてしまいました。
「うーん、 うーん」 力を入れても全然動けません。
「よいしょ、よいしょ」 どんなに頑張っても
やっぱり動けません。
「ああ~、ぼくはどうなるんだろう・・・
このまま枯れちゃうのかな・・・」
不安で不安で涙が出てきました。
13
ほんの少し お日様の光がさしてきました。
そこへ小さな男の子が通りかかりました。
「おかあさん、あそこにライオンのお花がいるよ!」
どんどん足音が近づいてきます。
ひまわりはこわくて震えています。
14
男の子はそっとひまわりを手にのせると
「ライオンくん大丈夫かなぁ?
おうちにつれて帰ってもいい?」
と、おかあさんに聞きました。
「いいわよ」
おかあさんはニッコリ笑いました。
15
小さくてきれいな鉢植えにひまわりが咲いています。
「おはよう ライオンくん」
ひまわりはうれしくて
花びらを〝ピン〟と広げます。
「お水をかけてあげるからね~」
男の子のことが大好きになったひまわりは
毎日が楽しくて 楽しくて
もう たいくつじゃありません。 おわり
最期まで読んでいただき ありがとうございました。